• 土谷守生

北欧の貴公子 オーレ・クリスチャン・フルセット




 オリンピックではメダルゼロ、世界選手権でも銅メダル1個しか獲得していないノルウェーのオーレ・クリスチャン・フルセット。ワールドカップでもここで取り上げている選手の中でも極端に少ない9勝しか挙げていない。果たして彼が“名選手”の中に入るのか。しかし、彼には「記録」ではなく「記憶」で私をはじめ多くの人の印象に残っている。 そんなフルセットだが、ひとたびレースが始まると貴公子からピステのスナイパーに豹変する。184センチの大柄な体を生かし、回転でもワイドスタンスでガンガン攻めるプレースタイルがスカッとするほど気持ちよかったこと、インタビューでは親切丁寧に笑顔で応えてくれる人柄の良さ、そして何よりカッコよかったことが成績以上に人気があった要因になっている。  日本にファンが多いのは、1989年ワールドカップ富良野大会での豪快なワイドスタンスからの快挙を目の当たりにしたことが大きいのではないだろうか。フルセットが得意にしているのは大回転だが、回転とも上位入賞するがここまで優勝はない。  大回転は標高差341m、全長1150m、旗門数1本目46、2本目48のコースプロフィール。フルセットは1本目ラップタイムを奪い、2位のツルブリッゲンに0.38秒差、ルドルフ・ニールリッヒは1.31秒差の7位。タイム差から言ってフルセットの逃げ切りが有利とみられていたが、2本目ニールリッヒがすべてのリスクを冒して突っ込んだ。そのニールリッヒが1.31秒の大差をひっくり返して優勝した。フルセットは2位だった。しかし、この大回転で富良野の感触を掴んでまだ優勝したことのない回転に挑んだ。  全長599m、標高差194m、旗門数1本目66、2本目63のコースプロフィールで気温2度、雪温0度、バーンはアイスバーン。  トンバ、ステンマルク、ヨナス・二ルソン、アルミン・ビットナー、フーベルト・ストロールツなど競合がひしめく中、このレースでも1本目ラップタイムをマークした。しかし、2位のビットナーとは0.18差。「大回転では1本目のラップをタイム差があるので守ろうとして失敗した」とレース後に語っていたフルセットは、2本目スピードポールになったコースを攻めに攻めた。最期の急斜面も無難にこなして、それまでトップのトンバを悔しがらせる初優勝を飾った。ノルウェーチームのワールドカップの優勝は1978年、エリック・ホーケルが滑降で優勝して以来2人目の快挙というおまけがついた。  会場を志賀高原に移して行われた大回転でも優勝し、日本のファンの前で“北欧の貴公子”はみごとにトップ選手の仲間入りを果たした。

記録 オリンピック

1992年/アルベールビル 大回転5位 世界選手権

1989年/ベイル 回転6位 1991年/ザールバッハ 回転銅メダル 大回転4位 スーパーG4位 ワールドカップ

通算9勝

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