• 土谷守生

強烈爆弾男 アルベルト・トンバ


 イタリアはボローニャ出身のこの男の登場でワールドレーシングはガラッと変わった。それまでのトップシーンを引っ張っていたのはステンマルク、ツルブリッゲン、ジラルデリなど、どちらかというと紳士でコツコツと真面目に打ち込むタイプの選手が多かったが、トンバはすべてにおいて規格外。それも「勝てばいいんだろう」という強烈なメッセージを発信し、それを実践で示す。  コーチでありイタリア最高のレジェンド、グスタボ・トエニをチームから追い出したというエピソードも残っている。自分の思い通りにならないとレースに出場することも拒否するという強烈な「自分ファースト」を貫く“トンバ・ラ・ボンバ”。  そんなトンバだが、パワー+テクニックは誰とも比較できないもので上体をフォールラインに向けて無駄な動きがまったくなく、早いスキーの振りでグイグイ攻める。頭の中にあるのは「世界一」で2位以下は惨敗という考えだから優勝できないとポールを雪面にたたきつけて折る。コーチが声をかけても聞かない、必ず立ち止まってインタビューに応えなければならないミックスゾーンでも止まらない。メディアとのトラブルも数知れず、とにかく彼の取材は悩みのタネだった。  1993年雫石で行われた世界選手権の時、スタッフと夕食している場面に出くわした。イタリアから3人の料理人を連れてきて大好きだという大量のパスタをモリモリ食べていた。食事の時は回りとよく喋り、大きな声で笑っている。大会コースで見るトンバとはかなり印象が違うが、子供が好きなようでコースサイドで子供を見かけると、イタリアから持ってきたピンズを渡すシーンを見かけたことも。行動のひとつひとつがミステリアスで、どれがほんとうのトンバなのか今でもわからない。  しかし、これから何年先もトンバ以上に強烈な個性を持つ選手が出て来ないと思うが、とにかく理屈抜きに「圧倒的に強い選手」だった。1985年デビュー、1998年引退。

記録 オリンピック 

1988年/カルガリー 回転金メダル 大回転金メダル 1992年/アルベールビル 回転金メダル 大回転銅メダル 1994年/リレハンメル 回転銅メダル 

世界選手権

1996年/シェラネバダ 回転金メダル 大回転金メダル 1987年/クランモンタナ 大回転銅メダル 1997年/セストリエール 回転銅メダル

ワールドカップ 

1988年 回転1位 大回転1位 1991年 大回転1位 1992年 回転1位 大回転1位 1994年 回転1位 1995年 回転1位 大回転1位 総合優勝 ワールドカップ通算50勝(回転35勝・大回転15勝) 1994/1995シーズン 11連勝(回転+大回転)のシーズン最多連勝

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