• 土谷守生

揺るがぬ王道 マルセル・ヒルシャー



 マルセル・ヒルシャー。オーストリアが生んだ技術系最強の選手である。2007年、18歳でワールドカップデビューを果たして昨シーズンで11シーズンになるが総合優勝7回(7年連続)はダントツの記録だ。2位のグスタボ・トエニ(ITA)、ピルミン・ツルブリッゲン(SUI)4回を大幅に上回り、総合優勝に関してはもうライバルがいない。総合優勝の4回トエニ、ツルブリッゲン、3回のインゲマル・ステンマルク、フィル・メーア、M・ジラルデリらはすでに引退しているので、ここから先は「ヒルシャーの一人旅」となる。  種目別勝利数では大回転はステンマルクに次ぐ2位となる28勝、回転も3位で28勝、両種目合わせて56勝(1位のステンマルクは86勝)。ステンマルクは16シーズンでの記録だが、ヒルシャーは11シーズンで記録したもの。29歳という年齢からステンマルクの最多勝利、回転、大回転の通算勝利数(複合2回含め通算58勝)も上回る可能性は十分。つまりワールドカップの歴史上、ステンマルクを上回る世界最強となる可能性が見えてきたということになる。  ヒルシャーの強さはどこにあるのか。技術的にはライバルであるヘンリック・クリストファーセン(NOR)とはほとんど差はない。しかし、ヒルシャーの強さは何といってもメンタル面の強さにある。それは彼には“守る”という選択肢がないということだ。  ワールドカップの映像を何回も見ているが、1本目に1秒以上のセーフティーリードがあっても攻めに攻める。コースアウトのリスクがありながら1本目と同じように必死にインを突く滑りを展開する。だから2位にトータル2秒以上のタイム差をつけることもある。   ステンマルクにしてもフィル・メーアにしても1本目に大量リードをすると2本目はそのタイム差を計算して余裕をもって滑っていたが、ヒルシャーにはそれがない。ここが歴代の有力選手との大きな違いかも知れない。それは「失敗しない」という絶対的な自信があるからにほかならない。今季、ヒルシャーの映像を見る機会があったら2本目のフルスイングに注目して見てほしい。  タイトルホルダー、ヒルシャーはどこまで記録を残すのか。  ザルツブルグ州アンベルグ=ルンゲツ出身 1989年3月2日生まれ29歳

これまでの記録 2007年18歳でワールドカップデビュー オリンピック 

2014年/ソチ 回転銀メダル 2018年/平昌 大回転金メダル 複合金メダル

世界選手権  

2013年/シュラドミング 回転金メダル 国別団体金メダル 大回転銀メダル 2015年/ビーバークリーク 複合金メダル 国別団体金メダル 大回転銀メダル 2017年/サンモリッツ 回転金メダル 大回転金メダル

ワールドカップ 

総合優勝7回(2011/12シーズンから 7年連続) 大回転優勝5回(2-14/15シーズンから4年連続) 回転優勝5回 通算勝利58勝(回転28勝・大回転28勝・複合2勝) ※通算勝利1位は16シーズンで86勝を挙げたステンマルク

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