• 土谷守生

日本選手唯一の金メダルを獲得 伊藤 敦

 

1・2)画質は悪いが、貴重な金メダルを獲得した時の滑りと表彰台の中央に立った瞬間


3)顔写真はジュニアコーチとして北照高校の監督として歴史的な瞬間を見届けた工藤裕 4)工藤聡が送ってくれた当時の代表メンバーとコーチ。林監督、工藤裕、山中茂、市村政美、選手は後ろ中央が金メダルを獲得した伊藤、前列中央が押切敬司 他、選手は前列右から伊東秀人、後藤伸昭、前列左から松沢三千代、本間 寿


  シニアの世界では1956年コルティナダンペッツォの第7回冬季オリンピックで銀メダル(回転)を獲得した猪谷千春さんがいるが、これがオリンピック、世界選手権大会を通じて唯一のメダル。しかし、ジュニアの世界ながら日本には「世界」でただひとり金メダルを獲得した選手がいる。  サラエボオリンピックが開催された1984年、アメリカのシュガールーフ(東海岸)で開催されたジュニア世界選手権大会で、伊藤敦(当時北照高校2年)が3月5日のスラロームで金メダルを獲得した。スキーコンプにその情報を知らせてくれたのは、ジャパンチームのジュニアコーチであった北照高校の監督、工藤裕。興奮気味に「敦が金メダルを獲りました」と連絡が入ってから社内は大騒ぎになったのを覚えている。  このレースにはジュニア時代のアルベルト・トンバやフィン・クリスチャン・ヤーゲ(NOR)などが出場しており、あのトンバを破った唯一の選手でもある。また、一緒に出場していた押切敬司(札幌第一高校)も6位入賞しており、日本のジュニアが世界トップレベルにあることを証明してみせた。 競技開始前、伊藤は「外国選手のレベルは自分と同じくらいだと感じた。岡部(哲也)さんが記録した6位を上回りたい」と臨んだ結果、なんと2本ともラップを奪う完勝。2本目、ゴールで待ち構えていた林清監督は絶叫し、工藤ジュニアコーチは「優勝なんて思ってもいなかった。昨年岡部が6位に入っているので、今回は10位以内に2名を目標にしていた。それが優勝と6位、ほんとうによくやってくれた」と初の快挙に歓喜する。  伊藤の成長については「タテのスキーができるようになり、スピードがついてきた結果」と分析する工藤コーチ。先輩、岡部がワールドカップで日本選手最高となる4位入賞を果たしたその2か月前のビッグランだった。 日本に唯一の金メダルをもたらせた伊藤敦の快挙も、今では“風化”されつつあり知らない選手やアルペン関係者もいる。淋しい限りだが、なかなかジュニアが育たない昨今、あの時代に戻ることも必要なのかも知れない。  ちなみに男子大回転で優勝したのはルドルフ・ニールリッヒ(AUT)、女子大回転はマテヤ・スベート(JUG)と日本でもお馴染みの選手が活躍している。日本の女子では松沢三千代(白馬高校)がスラロームで11位だった。

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